今回は、私が会社員を辞める決断をするまでの状況や考えたことを綴ろうと思います。
九州移住を前に感じた迷い
「地元の九州に帰って仕事がしたい」と夫が言い出したのは、私が会社を辞める半年前のことでした。プロスポーツチームで働く夫は、以前から地元のチームで働きたいと考えていたようです。
東京での生活が長かった私もその決断を応援したいと思いました。「あと少し東京で仕事を頑張ったら、九州に帰ろう」と、時間をかけて決意を固めていきました。
しかし、九州への移住を見据えながら働く日々の中で、「この頑張りは、未来の自分に本当に繋がっているのだろうか」と感じるようになりました。当時勤めていた会社には九州支店がなく、移住後に同じ仕事を続けることは難しい状況でした。
目の前の仕事に力を注げば注ぐほど、将来の自分が歩む道から離れていくように感じました。

会社には事前に相談できなかった
今思えば、会社に「九州に引っ越しても仕事が続けられるかどうか」を相談しておけばよかったのかもしれません。でも当時は誰にも切り出せないまま、ただ時間が過ぎていました。
そして気がつけば、夫と九州に引っ越すよりも前に自分の気持ちが整理できなくなり、悩みながらも私は「辞めさせてください」と、ある日突然上司に伝えることになりました。
なぜ会社に相談できなかったのか?今振り返ってみると、それは「子育て」に対する不安が大きく関係していたのだと思います。
会社員として子育てをすることへの違和感
退職を決めた時点で私たち夫婦にはまだ子どもがいませんでしたが、将来的には望んでいました。ただ、それがいつになるのか、そもそも授かることができるのかは分かりません。
私は当時営業職として働いており、日々お客様とのアポイントや納期に合わせてスケジュールを組む働き方をしていました。時間に追われることも多く、将来子どもを持つことを考えたとき、この働き方は続けられないと感じていました。
とはいえ、妊娠や子育ては計画通りに進むものではなく、とても個人的な話でもあるため、会社で誰かに話すことにはどうしても抵抗がありました。
また、以前から私は〈会社員であること〉と〈子育て〉はそもそも相性が良くないのではないかと感じていました。会社員という働き方は、勤務時間や社会的責任が厳密に求められるからこそ、子どもとの暮らしとどう両立するかを想像すると不安がありました。
こうした理由から、子どもがいないうちに辞めた方が、後々の自分を守れるのではないかと考えました。

あのとき会社を辞めていなかったら…
幸いなことに退職して程なくして妊娠がわかりました。
しかし、その後には壮絶なつわりが待ち受けており、日中もベッドで過ごす生活が2か月ほど続きました。もし会社員として働き続けていたら、安定期に入る前で妊娠を公にできない中、会社を休むことへの罪悪感に苦しんでいたことでしょう。
そう考えると、あのとき退職の決断をしていたからこそ、今こうして穏やかに子育てに向き合えているのだと思います。
これからの人生に向けた、新しい一歩
将来の暮らしや働き方、子育てへの向き合い方を見直したとき、これまでと同じ働き方では難しいと感じました。
今回の退職は、これからの人生を築いていくために踏み出した、新しい一歩だったと思います。
