多くの人が会社を辞めるとき、「収入がなくなる」「キャリアに空白ができる」といった、“失うもの”に意識が向くのではないでしょうか。
退職には、それなりのリスクや迷いがついてまわるものだと思いますが、私は「今、失うもの」よりも「この先の人生で得られるもの」に目を向けて決断しました。
会社員の安心と見えなくなっていたこと
会社員でいることのメリットは、やはり安定した収入があることだと思います。
毎月決まった日に給料が振り込まれ、社会保険料や税金に関する手続きも会社が行ってくれます。そうした仕組みに守られているからこそ、働くことに集中できます。
一方で、そうした「守られている状態」によって、社会保険や税金の仕組み、自分の労働単価について無頓着になりがちでもあります。

退職すると安定収入はなくなりますが、これを機に確定申告や社会保険の仕組み、ビジネスの基本的な考え方などを調べ、実践する機会を持つことができます。
そう考えると、これからの長い人生を生きていく上で欠かせない力をつけるために、前向きに辞めるという選択肢をとることができました。
キャリアの中断=デメリットではない
また、キャリアに空白ができることは、転職活動で不利になるかもしれないと多くの人が不安を感じるポイントだと思います。私も最初はそうでしたが、マイナスに捉えるのではなく、このブランク期間の位置づけを明確にし、人生にとって有意義なものにすれば何も問題はないだろうと考えを改めました。
私が会社を辞めたのは、地方移住を機に働き方を見直したいという思いがあったからですが(この点は前回の記事でも触れました)、それに加えて、東京での残りの時間を「挑戦期間」と位置づけていたことも大きな理由でした。そうすることで、キャリアを中断することにも自然と気持ちが向いたのだと思います。
自己実現の時間を確保したかった
この「挑戦期間」は、人生においてとても貴重なものになるだろうと思いました。会社などの組織に縛られず、自分の責任で意思決定できるチャンスは実はあまりないのではないかと思います。
もともと私には、「自分のビジネスで人を喜ばせる仕事がしたい」という夢がありました。具体的には、将来旅館やホテル業を立ち上げたいという思いがあり、「退職したらホテルでアルバイトをしたり、SNSで情報発信をしたりして夢に近づこう」と計画を立てていました。

残念ながら、実際には妊娠がわかり、つわりも重かったため、計画の多くは断念することになりましたが、それでも会社を辞めてから自分の想像を超える素敵な出会いやチャンスが多くありました。
退職は、得るための決断
退職によって失うものがゼロだったとは言いませんが、それよりも大きかったのは、「理想の人生に必要なルートを、自分の手で切り開いていく時間」が持てたことです。
退職は、私にとって“終わり”ではなく、新しい選択肢に出会うための始まりだったと考えます。
