キャリアチェンジに必要な「Must」の視点-40代からのキャリアと現実-

今回はここから未経験分野に飛び込みたいと考えている方向けに書きました。
キャリアの方向性を考えるときによく使われるフレームワークに Will(やりたいこと)・Can(できること)・Must(求められていること) があります。

この3つの重なりが大きいと、納得感のあるキャリアが描けますが、ご相談を受けていると「Must」=採用する企業側が求める視点が抜けてしまっている方もいらっしゃいます。
もちろん、企業と求職者は対等です。だからこそ、自分の求めていることだけではなく、相手の求めにも目を向ける必要があります。

1. 「収入は下げたくない」思いと現実

キャリアチェンジを考えるとき、多くの方がまず口にするのは「収入は下げたくない」という希望です。その気持ちは痛いほどわかります。そう思って当然だと思っています。

しかし、未経験分野に飛び込むなら、収入が下がることを許容せざるを得ない場面も出てきます。
経験が浅い分、企業は「今までの経験からできるであろう」という期待と「即戦力としては、少し様子を見なければならない」と考えて採用するからです。

企業が未経験分野に飛び込むあなたに期待しているのは、
・過去のやり方に執着しない柔軟性
・突発的なことが起きた時の対応力
・安定した働きぶり
・正確さ・誠実さ
といった基本的な信頼感です。

だからこそ、「収入を下げない」という条件に固執すると選択肢が一気に狭まってしまい、結果的に転職が難しくなります。

「どの程度までなら下がっても生活を守れるのか」を数字で確認し、許容できる幅を持つことが大切です。

2. 「この転職で最後にしたい」という気持ち

正直「次の転職を最後にしたい」という気持ち、ありますよね。次々と新しい環境に身を置いたり、責任ある立場を再び目指すことに、気力や体力の面で不安を抱える方も少なくありません。
そのため、キャリアチェンジを決断できずに立ち止まってしまうケースもよく見られます。

あなたの職業人生において、何を大切にしたいのか?再確認が必要だと思います。

変化を受け入れることを強く拒むことでチャンスが減ってしまうこともあります。ここもまた、考えどころかもしれません。
企業は変化対応ができる方を求めています。

3. 納得の転職までのハードルが高い

なかなかすんなりとは転職が決まらず、応募数だけが増えていく。メンタルが削られていく。そんな気持ちになってしまう方も少なくありません。そしてそれは、「未経験分野への転職」だと、さらにハードルが上がってきます。
ここで今一度考えて頂きたいのは、「転職して新しいキャリアを築く」という発想だけでなく、「今いる場所や自分の環境をどう活かしてキャリアを重ねていくか」という視点です。

・現職で新しい役割やプロジェクトに挑戦する
・後進育成や知見の伝承など、年齢ならではの価値を発揮する
・副業・パラレルキャリアで新しい経験を積む
・学び直し(リスキリング)で強みをアップデートする
・地域や社会活動で役割を広げる

「ライスワーク」と「ライフワーク」という考え方があります。
ライスワークはいわゆる「食べるため=生きるため」の仕事。
ライフワークは文字通り「生涯かけて打ち込みたい」仕事のことです。仕事を2つに切り分けて考えていくと、別の見え方が現れてくるかもしれません。

おわりに

キャリアチェンジには「企業側が求めることへの視点」と「あなたの覚悟」が欠かせません。
・収入の下がり幅を具体的に数字で把握する
・下がったとしても数年後にどう取り戻すか、シナリオを描く
・転職が難しい場合は、今の職場や副業で新しいWillを実現する方法を探す

「何を受け入れ、何を手放し、何を続けるのか」
――その整理が、次の一歩につながります。

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By キャリアコンサルタント みつはしくみこ

生命保険会社・病院・銀行・人材派遣会社と常に女性の多い職場に計20年おりました。 女性は人間関係や仕事、プライベートなどライフステージに応じて様々な悩みを抱えている方が多く、上記職場での勤務時代も同僚や上司の相談にのり、自分には『人の話を聴く力』があるのではないかと思い至りました。 その『人の話を聴く力』をプロフェッショナルの域まで高めるため国家資格キャリアコンサルタントを取得、1日8~10人の派遣社員の皆さん(延べ5000人)の悩みに耳を傾け、次の一歩を歩むお手伝いをしてきました。 現在は複数社で、女性比率の高い職場でのキャリアコンサルティングを通して、経営者と従業員が同じ方向を向いて企業が成長できるよう支援を行っております。 また、大学生の就活支援も行っており、若者の未来を築いて行くお手伝いもしています。

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