第8回ゲスト 鈴木まりさん

【人生はブーメラン】

キャリアブレイクからの復職、その後のキャリアに関するインタビュー。
第8回のゲストは、【鈴木まりさん】です。(以下、まり)

まりさんとは、薄井シンシアさん主催の【キャリアは生き方の会】でお会いしました。ITローカライゼーション、営業、マーケティング、キャリアコンサルタント(以下キャリコン)と多岐に渡るワークキャリアを持ち、ライフキャリアでは駐在妻、専業主婦という時期も経験されています。【人生はブーメラン】と言う彼女の言葉に大きく共感しました。誰かのために、今、自分が取り組んでいることは、巡り巡っていつか自分に返ってくる…皆さんもそう感じたことがあるのではないでしょうか。

—– 幼い頃から英語が好きで、大学在学中に10ヵ月間のカナダ留学を果たしたまりさん。大学4年生の5月に帰国した時には、同級生たちは既に就職活動を終えており、一人就活本を片手に、巻末の掲載企業に片っ端から連絡します。そこでDigital Equipment Corporation(現在のHP)とご縁があり入社。ローカライゼーションチームに配属されます。その後、Microsoft(以下MS)に転職、営業及びマーケティングとして従事。英国での駐在帯同期間を挟み、MSには19年間勤務。英国では子育てに専念する為、3年6ヵ月のキャリアブレイクを取得します。帰国後、MSに復職するも、自分のやりたいことを探求する為に退職。キャリコンという天職に辿り着きます。今年7月にRGF Professional Recruitmentを退職。現在は次なる目標に向けて準備をしています。

MSという皆が憧れる大企業に19年勤務されていかがでしたか。

まり:幼い頃から人に指示されて動くことがあまり好きではなかったので、MSの「自ら考え実行するカルチャー」は、私の性格に合っていたと思います。結果にコミットしたい思いがありましたし、その思いを支援してくれる仲間がいる環境でした。

2014年にご主人の仕事の関係で英国に帯同(キャリアブレイク取得)する決心をされましたね。仕事から離れることに迷いはありませんでしたか。

まり:その時は、夫が退職の花道を作ってくれたと思いました。ちょうど次のキャリアを考えても良いかなと感じていましたし、高齢出産で第二子を授かったので、仕事と子育ての両立に奮闘していた時期でもありました。周囲の理解もあり、自由にできるポジションだったのですが、一方で社員一人でやっている孤独なポジションでした。仲間と切磋琢磨して仕事をしたい私にとっては、孤独を感じつつも辞める理由が見つからずにいた中で、駐在帯同は大きなきっかけとなりました。

英国での生活は環境の変化もあり、仕事とは違った大変さもあったのではないですか。

まり:環境に馴染むために苦労したということは、あまりなかったのですが、赴任して半年くらい経った頃に、仕事を辞めた後悔が押し寄せてきました。専業主婦の生活、加えて英国のどんよりとした天気の中で、なぜ自分は仕事を辞めてしまったのだろう、生き生きとしている夫が羨ましいと感じることもありました。とにかく悩む時間を自分に与えないように、周囲との交流、運動、勉強、PTA、ボランティア等、スケジュールを埋めようと心掛けました。それでも気持ちは完全に晴れることはなく、どこかで夫を羨ましく思っていました。子育ても大好きだけれど、働きたいという強い思いに気付けた英国生活だったと思います。

帰国後(49歳)の転職活動について教えてください。

まり:赴任から帰ると、引越し等、とにかくやらなければならないことが多くて、子供の保育園のこともあり、お声が掛かった未経験の業界に飛び込んでしまいました。でもすぐに無茶な決断だったと感じ、その会社は5カ月で退職。ちょうどその頃、ありがたい事に、MSの方からお声を掛けていただきました。同時期にMSがリターンシッププログラムとして元社員の積極採用を行っていました。このプログラムで契約社員として6ヵ月勤務後、正社員として改めて試験を受ける形で、MSに復職しました。本当にありがたいことです。

MSを退職する決断をして、キャリコンの資格取得を目指した経緯を教えてください。

まり:MSに復職した頃、文科省が学校にデバイスを無償支給する「GIGAスクール構想」という取り組みがあり、正にPCデバイスの戦国時代に突入していました。周囲の方々のサポートで何とか仕事をしているという多忙な状況が続き、自分らしいパフォーマンスが発揮できている実感が持てずにいました。50代に入っていたこともあり、体力的にも厳しく、自分が本当にやりたいことって何だろうと立ち止まって考え始めた頃でした。

やりたいことの棚多しをする中で、メンター経験が楽しかったことを思い出しました。同僚のアドバイスもあり、キャリコンの資格取得を目指す決意をしました。仕事、育児、勉強の三足のわらじは厳しいことは容易に想像できたので、一大決心をして、MSを退職することにしました。迷いがなかったかと言うと噓になりますが、キャリコンが私のミッションなんだと思い、一歩踏み出しました。良い決断だったと思います。

キャリコン資格取得の決断から、今に至る経緯を教えてください。

まり:キャリコンの勉強をしながら、並行して転職活動もしていました。資格取得後にどういう仕事ができるのか誰かと話をしたいと思い、転職エージェントに登録したところ、そこからお誘いがあった、それがRGFでした。キャリコンの仕事は天職だと思っています。初対面の1時間ほどで、その人の人生に触れる機会をいただけることは本当にありがたいです。子供の頃から人をエンパワーすることが自分のミッションのように感じてきました。でも最近になって、人を勇気づける仕事はキャリコンだけじゃないと思い始めて、今は、次なる挑戦を探求しています。自分が生まれてきた本質に近いところで、自分らしい働き方を生み出したいと思っています。

座右の銘は何ですか?

まり:京セラの稲森和夫さんの「生き方」という本にある【利他の心】です。稲盛さんのお言葉を引用すると「世のため人のために尽くすことによって、自分の運命を変えていくことができます。自分だけよければいい、という利己の心を離れて、他人の幸せを願う利他の心になる。そうすれば自分の人生が豊かになり、幸運に恵まれる」、これをすごく感じています。例えば仕事で自分の売上のために動いている時は、結局上手く行かず、一方で、クライアント、候補者、特にチームメンバーのために動いていると、すぐには良い結果は出ないものの、いつか自分に返ってくることがあります。私は、「人生はブーメラン」だと思っています。

インタビューを終えて

様々なご経験をされてきたまりさんですが、目の前に来たチャンスをとにかくやってみることで進んできたと言います。悩んだところで人生の正解に確信が持てないのが現実。目の前に来たチャンスやご縁を大切に、とにかくやってみるの精神で進んだ先に、答えが見える、私もそんな気がしています。一歩踏み出す勇気と自分を支えてくれる方々とのご縁は、私たちの人生を彩る鍵と言えるのではないでしょうか。

いつも明るく前向きなまりさん。
一方で、お話から見えてきたキャリアは、見えない努力の賜物でした。
ご縁を大切に前進する勇気に共感です。

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