【次のキャリアの為に、日常の20%の時間を本業以外の場所で活用する】
2019年、私は娘の不登校克服の為に生活の拠点を台湾に移す決断をしました。娘が高校を卒業するまでの約5年間、異国の地でたくさんの方に助けていただきました。台湾は、今のキャリアを形作った場所であり、そこで培った経験と人脈は私たちのこれからを支える糧となる、そう感じています。
台湾と言えば、世界を震撼させたコロナウイルスの非常事態に迅速に人道的政策をもたらした人物、元デジタル担当大臣であるオードリー・タン氏を思い出す方も多いのではないでしょうか。
オードリー・タン氏は、『職業だけでなく生活にもスラッシュを入れよう』と提唱しています。
「今、あなたが専業で働いているとしたら、自分のために20パーセントの時間を確保し、本業以外のコミュニティにその時間を使う。そうすることで少しずつ新たな人脈や専門知識を手に入れることができる。決して複数の収入源を持つべきだという意味ではない。本業以外に自分を見つめ直したり、興味のあることを楽しんだりする時間を作ろうという話だ。」
(出展:2024.11.15,「オードリー・タンは生活にも「/」を入れる…「スラッシュワーカー」になる方法、超える方法」, Newsweek日本版)
さて、皆さんは【スラッシュワーカー】という言葉をご存知ですか?
複数の肩書を持つ人のこと。経歴が / (スラッシュ)で区切られて併記されることから、そういう働き方をする人をスラッシャーやスラッシュワーカーと呼ぶそうです。例えば、「実業家/ プログラマー」という具合です。
私は、「/」で区切られるのは職歴だけではないと思っています。家庭内の役割やボランティア等の人生に関わる取組みも含めて、今の自分があります。つまり私たちは皆スラッシュワーカーです。私の場合、本業は外資BD Manager、「/」の先には、米国大学生、母親、介護者、日経xwomanアンバサダーと続きます。
50代の今、私には生活の為の本業、責任や感謝の為の母親業や介護の他に、人生の次なるフェーズである60代を見据えて挑戦したい事があります。子育てが一段落して、50代の転職も達成した今、気付いたら本業以外の20%の時間を学びや様々な人との交流に充てている自分がいました。10年後の自分がどうありたいかを上手く描けずに迷走することもありますが、以前より心に余裕が持てている自分を感じます。本業以外の「/」に自分の時間を使うことで、知識や人脈が拡がり、本業にも良い影響をもたらしている気がします。これから新たな「/」を描くことにもワクワクしています。
このブログを読んでくださっている若い世代の方々は、たぶん自分の生活の20%を「/」の先に投資する事は難しいと感じるかもしれません。かく言う私も30-40代の頃は、仕事、家事、育児で一日の大半が使われ、足りなくて休日返上且つ睡眠時間も削っていたくらいです。でも大変な事も、いつか一段落する日が来ます。だから今焦って結果を出そうとしなくて大丈夫です。置かれた場所で、できる事を一生懸命にやっていれば、例えそれが今は自分の思い描く目標からかけ離れていたとしても、小さな一歩となって必ず前に進んでいます。そして時が来たら、思う存分、未来の自分への投資に使える20%の時間が捻出できるようになるのです。
私自身、多忙を極めた30-40代を振り返ってみると、自分や家族の事を真剣に考え、自分を見つめ直して前進した時間と場所(コミュニティ)がありました。それが私にとって台湾でした。苦しい事も多かったけれど、人の温かさを有難いくらい感じさせてもらった時間でもありました。日常の20%を未来の自分に投資したという感覚も持てない程、必死な5年間でしたが、この経験がなかったら、現職のポジションも、その先の「/」である米国大学や日経xwomanアンバサダーへの挑戦もなかったと思います。今を必死に生きる事も未来の自分への投資。そこに日常の20%を追加出来たら自分の成長は加速する。時が来たら、必ず成長に向かって加速できる自分を持てます。
★ 人生は持久走。全力疾走では倒れてしまいます。今できる事を今できるペースで進めていれば、ふとスピードアップできるタイミングに辿り着きます。それが、子供の自立であったり、仕事の転機であったり。時間と心に少し余裕が見えたら、日常の20%を次の「/」に活用しましょう。それは仕事(ワークキャリア)でなくても、ボランティアやリスキリング等、生き方(ライフキャリア)に関する事でもいいんです。ワークもライフも、キャリアはトータルして自分の生き方になるのですから。
さて、人生100年時代、あなたはいくつの/(スラッシュ)に挑戦しますか?

