第9回ゲスト 小宮山菜々子さん

【変化を恐れない】

キャリアブレイクからの復職、その後のキャリアに関するインタビュー。

第9回のゲストは、小宮山菜々子さん】です。(以下、菜々子)

菜々子さんは、薄井シンシアさん主催【キャリアは生き方の会】の記念すべき第1回の参加者の一人。落ち着いた話し方が印象的で、菜々子さんのキャリアジャーニーをもっと伺いたいと思っていました。今回快諾いただき、このインタビューが実現しました。

—– 彼女のキャリアの軸はIT業界。職種は営業から人事、採用へと転身していきます。大学卒業後、米国大手IT企業に入社。5年程営業で経験を積んだ後、英国大学院に1年留学、帰国して人事部に配属となりました。その後、9年のキャリアブレイクを経験。復職は欧州製薬企業でした。そこで約6年人事業務に従事し50歳手前でIT企業に転職、採用マネージャーとなりました。そして、2024年7月から現職である日系大手IT企業のグループ会社であるシステムインテグレーター企業で人事部シニアマネージャーとして活躍されています。

新卒でIT企業に入社し、今日までキャリアの軸を『IT業界』に置いている背景を教えてください。

菜々子:学生の頃からITに関心がありました。当時ある事務所でアルバイトをしていたのですが、約100ページの資料を数時間掛けてコピーをし、それがすぐに捨てられてしまう光景を見ました。社内の渡り廊下を渡って他部署にフロッピーディスクを届けに行くこともあり(電子メールを使えばもっと速く情報伝達できるのにな)と思っていました。IT導入によって働き方に変化が図れれば、日本の労働環境が向上するなとも考えていました。

1社目のIT企業で営業職を経験され、その後、人事へと転身されましたね。当時の菜々子さんの想いや転身への道筋をお話しいただけますか。

菜々子:5年程営業職として勤務しました。男性が多い職場でしたが、仕事内容や仲間は非常に楽しく今でも良い思い出です。ただ夜遅い時間までの残業があり、将来的にプライベートとの両立が難しいな、女性だし何か一つ強みを持っておかないと、と考えていました。当時社内に留学休職制度があり(無給、授業料は会社補助)英国の大学院で人事の勉強をする機会を頂き、帰国後人事部への配属となりました。

人事領域に挑戦する中で、約9年のキャリアブレイクを選択されました。ワークキャリアから離れる事に不安はありませんでしたか。

菜々子:国際結婚で海外移住を伴うことから、一旦離職を決意し夫の住む香港で2年程過ごしました。その後、両親の病気を機に日本に帰国。夫は香港、私と子供は日本という状況下、育児はほぼワンオペでした。その間、短期で翻訳やプロジェクトベースの仕事はしていましたが、フルタイムの仕事と子育ては両立が難しいと考え、子育てに専念する道を続けました。当時は、同世代や社会から取り残されているような感覚がありました。何回か復職のお誘いもいただいたのですが、家族の事を考えると復帰に踏み切ることができませんでした。

キャリアブレイクから復職したきっかけは何でしたか。

菜々子:家庭の経済的事情の変化から復職を考え始めました。先輩から人事のポジションでお声掛けいただき、製薬という未知の業界でしたが契約社員として短時間(10-16時)勤務で復職し、その後しばらくは時短で勤務しました。欧州外資系企業だったからか、仕事と家庭の両立に対して寛容だった気がします。ありがたいことに苦戦なく復職先を見つける事は出来ましたが、長いキャリアブレイクでの間、仕事で使用するツールも変わっていたのでキャッチアップにはかなりの努力が必要でした。

再びIT業界に戻ったきっかけを教えてください。

菜々子:50歳になる手前の時LinkedInのダイレクトメッセージで企業から直接声を掛けていただきました。IT業界に戻りたい思いがずっとあったので、チャンスだと思いました。偶然にもその企業の社長が新卒入社したIT企業の同じ営業部にいた方でご縁を感じました。

LinkedInのDMで声掛けがあるのは、ある意味チャンスでもありますが、それが本物かどうか怖いと思ったことはありませんか。

菜々子:LinkedInは他のSNSと異なり、実名登録と所属組織の公開が前提のプラットフォームで、運営側による本人確認も非常に厳格のようです。そのためプロフィール情報の信頼性が高く、企業が正式に候補者へアプローチする“ビジネス上の場”として広く利用されています。実際、私のようにLinkedInのダイレクトメールで企業から直接声を掛けていただき転職するケースも多々あり、また私も日頃LinkedInを活用してスカウトなど行っています。

51歳で現職の日系企業に転職されていますが、50代の壁は感じませんでしたか。

菜々子:50、60代でキャリアアップを目指すには壁があるという声を耳にしますが、今の時代はどんな年代でもチャンスは沢山あると考えています。私も実際専門性の高いスキルを持つ60歳以上の方をスカウトする事もあります。

座右の銘は何ですか?

菜々子:『変化を恐れない』です。チャンスが来たら自ら飛び込む。昔から思いっきりが良いところはありました。チャンスがあれば飛び込んで、変化の中に自分を置くことが好きです。飛び込んだ先で、壁を乗り越えながらいろいろな事が実現できると達成感があって嬉しい。だからまた次も飛び込めるんです。

インタビューを終えて

チャンスが来たら臆さず飛び込み、経験やスキルを重ねる一方で、『IT』というブレない軸を持ち、ライフイベント等で一旦そこから離れても、強い信念でまた戻る、菜々子さんの中に芯の強さを感じました。キャリアにおいて自分らしい軸を持ち続ける事で、振り返った時に、納得できるキャリアの道を実感できるのだと思います

ITというご自身の軸と、人事という好きな領域で生き生きとご活躍される菜々子さんは、凛として、見ていて清々しいです。素敵なキャリアの歩み方を感じさせていただきました。

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