【Experience never gets old:経験は色褪せることなく、いつまでも価値があるもの】
キャリアブレイクからの復職、その後のキャリアに関するインタビュー。
第10回のゲストは、【平野桃子さん】です。(以下、桃子)
—– 大学卒業後、約10年間、日系不動産企業に勤務。営業、売買仲介、プロパティマネジメント業務、CRE(Corporate real estate)コンサルティング等、不動産業務に関して幅広い経験を積みました。2015年に第1子妊娠。育休と同時期に夫の海外赴任(英国)が決まり、子供と日本に残るか家族で帯同するか相当迷いましたが、退職して帯同することを決意。2年弱の駐在期間では、意を決し自ら現地ロンドンの不動産会社の門戸を叩き、週3日勤務の職を得ました。2019年に日本に帰国後、第2子出産。産後はすぐに復職活動に取り組みます。しかし希望職種は残業が多く育児との両立が難しく、一方、未経験の領域では自分に合うポジションが見つけられず苦戦。知人の紹介で、当時はまだ珍しかった「在宅勤務制度・フレックスタイム制度」を導入していた企業と出会い、不動産業界への復帰を果たします。その後、コロナ禍が自身のキャリアを見つめ直すきっかけとなり、従前の職場への復帰も含めて、これまでに3回の転職を経験。現在42歳、2児の母として子育てと仕事の両立及び自身のスキルアップに奮闘中の日々です。
■不動産業界でキャリアを築いている背景
桃子: 栃木県出身。大学入学のために上京した際に、東京の高層ビルや、沢山の人が行き交う街並みを見て素敵だなと思いました。就職活動では、建設業界や百貨店も受けたのですが、女性が長く働ける仕事を考えた時に、不動産業界が良いと感じました。宅建があれば仮に転勤があっても全国どこでも働けると思い、入社後に宅建取得、会社が推奨する不動産コンサルティングマスターも取得しました。夫の海外赴任に帯同した時も、勇気を振り絞って、街の不動産屋さんの門戸を叩きました。家族のためを思って日本での仕事を諦めて海外赴任に帯同しましたが、前職の後輩が昇進した話を聞いたり、進行中の案件の話を聞くと、あー、私は仕事が好きだったのだなと気付きました。英国で思い切って働いたからこそ見えた景色があったし、英語力も上がり、この経験は自分にとって貴重だったと感じています。
■キャリアブレイクを決断した理由
桃子:子供が1歳になり、復職を考えて保育園も決定していた中で、子供の乳児粉ミルクアレルギーが判明しました。ここで職場復帰のタイミングに迷いが生じました。ちょうどその頃、夫の海外転勤の辞令が出ました。私は当時勤めていた職場に思い入れがあり、復職を希望していたので、夫には単身で渡英してもらおうと思った時期もありました。家族帯同を願う夫と復職したい私。話し合いを重ねる中で、私は、友人から紹介をしてもらった人材エージェントと面談し、本当に仕事を辞めても将来復職できるかといった相談もしました。エージェントからは「子供がいても保育園が決まれば再就職できるのではないか」「(当時の)安倍政権が女性活躍を推進しているから、将来帰国する頃には環境が良くなっている可能性はあるかも」というアドバイスを受けて、最終的に家族との英国生活を決断しました。ただ、当時はまだ「在宅勤務」や「柔軟な働き方」とかいう言葉は不動産業界では非常に稀で、将来の市場動向を鑑み、復職の可能性を拡げる為に、英国で「使える英語」を習得することを目標の一つとしました。
■キャリアブレイクからの復職で苦労したこと
桃子:第2子を妊娠して帰国。出産後に保育園探しをしたら、生後3カ月くらいの時に、想定より早く自宅近くの園に0歳児クラスの空枠が見つかりました。これを逃したら次があるかわからないので職探しを始めました。子供が小さかったので在宅勤務制度・フレックスタイム制度を選択できる仕事を希望。しかし当時はコロナ前で、不動産、建設業界では、そのような柔軟な勤務体系の機会をなかなか見つけられませんでした。未経験のIT、人材業界では既にTeamsを活用していたので話も聞きましたが、提示給与が希望額よりかなり低く、保育園代を鑑みると厳しく、結局、旧知の先輩に相談したところ、先輩の伝手で不動産関連企業2社から採用のお話を頂くことができました。自分の職歴や人柄を知っている人だからこそフィットする会社をご紹介いただけたのだと思います。一人で悩まず、もっと早くに相談すべきだったと思います。在宅勤務が週2日まで認められていて、ブランクある人材を雇ってくれる企業とのご縁があり、入社を決意しました。
■現在取り組んでいること、将来に向けた挑戦
桃子:最近まで取り組んでいたこととして、オンライン/オフライン併用のUniversity of Manchester のglobal MBAコースがあります。英語のスキルアップと経営への理解を深めることが目標でした。家族の理解やサポートがあり、2年間やりきることができました。現在も継続して取り組んでいることとしては、主に駐在帯同によるキャリア変化に悩む女性の支援をボランティアで行っています。イベントで宅建セミナーを開催したり、駐在前後の環境下で悩む方々の相談に載ったりしています。子供も大きくなって、帰国後の再就職から6年が経ち、生活も少し安定してきたので、インプットだけでなく、アウトプット(自身の経験をSNSで発信する等)にも挑戦したいと思っています。
■仕事と子育ての両立やキャリアブレイク取得に悩む30-40代の方々へのメッセージ
桃子:私自身、キャリアブレイクで心が揺さぶられることがたくさんありました。嫌な思いもあったけれど、一方で、同じ想いを持った人が想像以上にいることも感じました。今は情報がたくさんあるので、検索しつつ、一人で悩まずにいて欲しいと思います。薄井シンシアさんの本「専業主婦が就職するまでにやっておくべき8つのこと」もおススメです。再就職後のキャリアで悩んでいるときに出会った本なのですが、経験者ならではの視点で情報や想いが良く纏まっていて、駐在前に読めば良かったと感じました。私が辿ってきた道を本の内容と重ねて、自身の経験を振り返ることができました。
■桃子さんにとっての仕事の位置付け
桃子:生活の一部だと思っています。仕事とプライベートをきっちり区別する必要はないと感じています。人生に仕事と生活が入り乱れている、そんな感じです。私の祖父母は地元で洋服屋を営んでいて、80歳までお店に立っていたのですが、常に仕事関係者、友達、家族がそこに集まっていたので、仕事は生活の一部であることを実際に見て、生きることは働くことだとも感じてきました。そういう歳の重ね方は素敵だなと思います。
■今後のキャリアの方向性
桃子:引き続き、家族の目標を応援しながら、自分の仕事も頑張っていきたいと思っています。また、私自身が再就職や転職の際に、多くの方からキャリア形成の機会等、手を差し伸べて頂いたので、同じように私もキャリアブレイクを経験した方々の活躍の場を増やす手助けをしていけたらと思います。
★インタビューを終えて
桃子さんのお話を伺いながら、ご自身の考えをしっかり持っていて、それを言葉で表現し、実行できる方だという印象を持ちました。私自身も前を向いて頑張らなければと背筋が伸びる思いでした。
キャリアブレイクから復職、活躍する方のインタビューは、今回で10人となりました。実名でご自身のキャリアを語っていただけることは大変貴重で有難く、ご協力に心から感謝いたします。お話を伺いながら、皆さんにはいくつかの共通点があるように感じています。1つは、悩みながらも目の前に来たチャンスを掴み、歩を進める勇気を持っていらっしゃること、もう一つは、良い事も悪い事も自らが通ってきた道・経験を受け入れて人生の糧にしていることかと思います。これからも素敵なキャリアストーリーをお届けしたいと思います。

