子育てと仕事をどう両立させるか 子育てと仕事をどう両立させるか──多くの人が直面するテーマです。 「キャリアブレイクダイアリー」では、キャリアの途中で立ち止まり、自分らしい選択をした人たちの声をお届けします。そして今回、シリーズ最初のインタビューとしてお話を伺ったのは、大戸菜野さんです。(以下、菜野さん) 菜野さんは、日本の大学に在学中、当時スタートアップ期にあった外資系メーカーで契約社員として働きました。卒業後はニューヨークの大学へ編入。帰国後は新卒としてインフラ企業に入社しその後大手自動車メーカーへ転職。国内外の商品企画でキャリアを重ね、管理職としてチームを率いる立場も経験しました。お子さんを出産後、2年間の育休を経て復職しますが、子育てを優先するため退職を決断。その後は専業主婦を経て、お子さんが4歳のときに短時間勤務のパートをスタートし、やがてご自身の会社を立ち上げました。 ―産休・育休に入る前、復職予定についてどのように考えられていたかお聞かせ下さい。 菜野さん:復職時期については実際のところ、産むまでわかりませんでした。生まれてみたらきついと思うかもしれないし、仕事に一刻も早く戻りたいと思うかもしれない。産んでみたら、可愛くて自分がお世話をしたいという気持ちになりました。 ―2年後に復職というのは会社の中では少し遅かった方ですか。 菜野さん:少し遅いどころではなかったです。周りからは復職は3か月や6か月でするのがいいとアドバイスをもらっていたので。管理職であったこともあり、「そんなに休むのか」という雰囲気を感じたこともあります。実際保育園に落ちていたというのもあるのですが。 ―このまま保育園が決まらなければ、退職も見据えていましたか? 菜野さん:入れなかったら認可外のプリスクール。全額自費になってしまいますが、そこで決めるしかないと思いました。実家のサポートを受けながら、家から一番近い認可外のプリスクールに入れて、結局2年ほど利用しました。しょうがないと思いました。2年子どもといた分、払うしかないと。 ―復職は仕事をしたいという思いからだったのですか。 菜野さん:家計のことを考えて、「働かないと」と思ったからです。でも、結局働いているうちにやっぱり子育てしたほうがいいと思いました。仕事はいつでもできる。とりあえず「これだけ減っても大丈夫」と予め見越していた蓄えが尽きるまでは専業主婦をして、後でまた働くなりなんなりそのときに考えればいいと思いました。うちは夫と家計を折半しているので、子育てのためにどちらが退職するか?という話をしたときに、子どもが「ママがいい」と言ったのもあり、私が退職することにしました。退職に伴い、子どもは幼稚園に編入しました。 ―専業主婦になってから起業するまでのことを教えて下さい。 菜野さん:専業主婦をやっていてしばらくすると、シンシアさんに「外資系企業のカントリーマネージャーの仕事があるよ」と教えていただき、その仕事をパートというかたちで始めました。比較的在宅が多めで1日約4時間子どもが幼稚園に入っている間だけ働くという生活を9か月間ほどしました。でも雇われていると自分の時間がコントロールしづらく、労働時間が増えていったのもあり自分で事業をやりたいという気持ちになりました。その心境に至ったのは、既存の枠組みの中で育児と仕事を両立すると私の望む生活にならず、失敗だったと感じたからです。1日は24時間しかないので、その時間で育児と仕事をしようとするとゼロサムゲームにしかならない。 ―私もそうですが、多くの人が「時間がない」と悩んでいると思います。 菜野さん:例えば、会社の枠組みに働き方を合わせなきゃいけないとすると、多くの方はフルタイムがデフォルトになりますよね。「決められた時間の仕事で例えば9時間、朝9時から18時まで使ったら、残りはどう分配するか」それが無意識の人の行動だと思うんです。こちらが既存の枠組みに合わせて働くのは、雇われている以上変えられない。だから、私が望む生活が送れないなら、自分で作るしかないと思ったのです。生活に仕事と育児を「融合」したほうがいいと思いました。そのコントロールをするための起業です。 ―「融合」というのは面白いですね。 菜野さん:自分で会社を始めてからは仕事と育児の関わり方がフレキシブルになりました。例えば、子供の送迎や授業参観の予定に合わせて仕事を組めば良いですし。仕事を作るのは自分なので、子どもが遊んでいる様子を見てビジネスのアイデアが湧いたり、仕事している時間に子どもとの向き合い方に気づきがあったりします。 ―仕事も育児も共存して、お互いに影響を与えるのですね。私も自営業ですから共感できる考え方です。 菜野さん:長い年月のスパンでいつ子育てしていつ働くかという考え方もありますが、私たちの世代はITの後押しもあって融合系を選ぶこともできるようになったと考えます。例えるなら、この働き方はアニメドラえもんのジャイアンの実家「剛田商店方式」みたいな感じ。家業のある家の子は、子供もちょっと仕事を手伝ったりして、お母さんは店番をしながら家事をして子どもの宿題をみてというのができる。新しいというよりは昔の働き方に近いものかもしれません。 ―「剛田商店方式」!私もあえて昔のような働き方がいいと感じています。今の時代インターネットで情報も簡単に取れるし、会社で働くことを前提にしなければ、働く時期を明確に区切る必要はないかもしれませんね。 菜野さん:そうそう。個人の集合体で仕事ができるという時代の強みもあると思います。今はライブでミーティングもできるし、シフトもAIで組める。絶対8時間会社にいてね、決まった時間に必ず働いてね、と言わなくても働ける「剛田商店方式」ができるんじゃないかと思っています。 前編を振り返って 菜野さんが見つけた育児と仕事を「融合」させるという働き方。私自身も0歳の娘を育てながら、日々「子どもと向き合う時間」と「自分の仕事」をどう調和させるか悩むことが多く、菜野さんのお話には強く共感しました。後編では、菜野さんの事業の内容や、子どもと過ごす日々の時間、そしてこれまでの決断を振り返ってどう感じているのかを伺います。
Category: インタビュー
多様な社員のキャリア再構築が企業を伸ばす: Cochlearの取り組み
「私たちは、個人の経験やスキル、ポテンシャルを見極め、未来に向けてどれだけの価値を生み出せるかを重視しています。キャリアブレイクがあったかどうかではなく、その人がどのように成長し、組織に貢献できるかが重要なのです。」
